クラウドソーシング活用のメリット 7|人件費の変動費化・人的リソースの流動化で実現する、一歩先の企業経営。

2014年11月28日

特集07_01
先行きの不透明な時代を乗り切るための経営手法として、「人」と「人に関する費用」の流動化を考える連載最終回。

1:増税・アベノミクスの影響を受けた経済情勢
2:固定費を抑えて変動費を高めることでリスク分散する経営へのシフト
3:人材不足から派生する採用・教育コスト=「人件費」の増大時代へ突入
4:人件費=給与ではなく、総額人件費で考える
5:短期的な人件費の流動費化手法の具体例
6:中期的な賃金面における人件費の変動化手法の具体例

と6回にわたり、人件費を流動費化させる必要性と方法について考えてきました。最終回となる7回では、『人的リソースによる変動費化』について考えてみます。

複数の雇用形態をミックスした組織づくりによる、人件費の変動費化。

人件費を抑制するために、複数の雇用形態を導入する。一般的に考えられるのは、いわゆる正社員での雇用と併せて、派遣社員やパート・アルバイト社員の比率を上げることでしょう。固定費化しやすい正社員の比率を下げ、フロー社員の活用によって「必要なときに必要なだけ」労働力を得る仕組みです。

導入のハードル自体は低いと言える施策ですが、注意すべき点もあります。大きなところでは、社内整備が必要になることです。

業務フローと領域の整理

フロー社員に任せる業務は何なのか。まずは正社員に任せる業務と、派遣社員やパート・アルバイト社員に任せる業務の切り分けが必要です。フロー社員に任せるということは、個人に依存するノウハウの蓄積が不要の業務と考えることができるでしょう。事業上、必要となるが定型業務であり、「少ない訓練」で「誰も」が「一定の成果」を上げられる業務であることも重要です。
 
業務にあたる人材が変わることを想定して、習得までの訓練と業務フローを簡潔に整理しておくことも大切になります。「少ない訓練」で「誰も」が「一定の成果」を上げられる仕組みづくりが肝となるのです。

評価制度の整理

様々な雇用形態のスタッフが増えることで、評価制度の適正化が必要になります。個別の業績を的確に把握・判断し、評価に結び付ける仕組みです。適正な「業務範囲」と「評価」の連動がなされないと、社員の士気低下(いわゆるモラールダウン)を招きかねません。

外部リソースの有効活用による、人件費の変動費化。

アウトソーシングの活用

人件費の流動費化施策として、最後にご紹介するのが「外部リソース」の活用です。連載の2回目でご紹介した通り、バブル崩壊から顕著に行なわれた人件費の抑制施策のひとつ。当時は、大手企業の大半が業務のアウトソーシング化に着手したと言われています。
 
今でも「給与計算」を専門に請け負う企業があるように、人事・経理などのバックオフィス業務をアウトソーシングする企業が多かったようです。それだけにとどまらず、開発や営業など、業態によっては事業の根幹をなす部分まで、外部リソースを活用した例があるほど。

ご存じの通り、現在でも多くの企業がアウトソーシングを活用しており、「必要なときに必要なだけ」業務を切り出しています。確かに、ある領域を専門に扱っている企業なり人に任せるほうが、業務効率が高く、クオリティも安定するというメリットがあります。労務管理の労力も不要となり、経営体質をスリム化する面でも有効な手段です。

クラウドソーシングの活用

特集07_2
近年では、業務を別会社に依頼するアウトソーシングと異なり、不特定多数に依頼・公募する仕組みが盛り上がってきました。不特定多数の人=crowdに委託するこの仕組みが、クラウドソーシングです。主に個人やSOHOで働く人が請負先となり、企業が依頼した業務に対して提案をしてくれます。アウトソーシングとの違いとして、企業側は依頼さえすれば、受注者から業務に対する応募がある点。集まった中から自社にとって最も適した提案を採用し、発注を行ない、成果物を納品してもらうことができるのです。

基本的に発注者と受注者が直接のやり取りで業務を進めるため、ノウハウが社内に貯まるという点もアウトソーシングと異なります(発注だけを行なうというサービスの利用方法もあります)。この方法であれば、自社の理念や特徴など、内部にいる人にしか理解できない部分まで、成果物に込めることができるでしょう。従来のアウトソーシングとは異なる、企業の永続的発展に寄与する外部リソースの活用方法として注目を集めています。

ハーバードビジネススクールの助教授によって提唱された「オープンイノベーション(自社だけでなく、他社や大学などが持つ技術・アイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや研究成果・製品開発につなげる方法)」を取り入れる企業が増えている昨今。そのひとつのカタチでもある「クラウドソーシング」の導入は、一歩進んだ企業経営を行なうための武器となりそうです。

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全7回にわたる連載にお付き合いくださり、ありがとうございました。引き続き、「人件費の流動費化」「クラウドソーシング」という観点から、様々な企画・記事を掲載していきます。

<ライター:城戸内 大介>


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